『わたしを離さないで』カズオ・イシグロ著について

わたしを離さないで』カズオ・イシグロ(著)を読みました。
読みながら小川洋子さんの『密やかな結晶』を思い出しました。
どちらも、国家によってある冷酷な施策が執り行われているという共通点があります。
主人公は少しづつその秘密を知っていくのですが、その理不尽な施策に対して、抗議するでもなく、絶望するでもなく、日々の生活をおくっています。
そのニュートラルさのために、かえって感情移入してしまうのだと思います。

理性的で思慮深い主人公は、この世界の「不自然さ」に気づいて、無意識のうちにそれを解き明かそうとします。謎を解き明かそうという感じではなく、ふと気づくとそのことを考えている、といった感じです。