文体練習

片根伊六(かたねいろく)による、詩、物語、小説、エッセイなどを掲載しています。

黒色微粒子

            真っ白な画面を見ると、

重苦しくなってしまう。 目をつむって、はやく向こう側の 黒色微粒子に溶け込まなければ。 (シグマリオンは画面が小さいから 向こうに行くのが難しい。) 新しいカレンダー空間が 僕の右斜め奥に向かって伸びて行っている。 カレンダーは1年単位でできている。 途中で切れた橋みたい。 イメージがスムースに伸びていかない。 (僕の光のない世界で イメージがポンポン飛び交っている。) ヘンに思われないように気をつけながら 知らない人をじっと見つづける。 (一人きりでいると 秘密が見えてきてしまう) 知らない人のカレンダー空間に 感情移入している。 (電車で、僕の携帯と知らない人の携帯が 勝手に通信をはじめている) 闇夜の列車に乗り合わせた 旅する無口な2人のように 最後にちらっと目を合わせてから 僕はその場所を後にした。      

『抒情文芸/103号』