文体練習

片根伊六(かたねいろく)による、詩、物語、小説、エッセイなどを掲載しています。

モーツァルトとキティーの恋の話し

            モーツァルトが短調で酔ってる 悲劇のヒーローになってる 「一七才のガキンチョめ! 一〇年早いよ」と僕は言った 帰って数学をやりな 今度は再試してあげないよ!<!--more-->

その夜 ネコなのにベジタリアンの やさしいキティは モーツァルトの前でミッキーを食べた ペロリとおいしそうに ナマのまま食べた 実に不可解だ それに みんな知らないと思うけど スッピンのキティは色っぽい

急に黙り込んでドキッとさせる 囁くようなバイオリンに キティが かがみこむ そして やさしく 頭をなでてあげる 「このハンカチで 涙をふきなさい」とキティは言ったが いつもモーツァルトプラハで 女の子を泣かしているのだった やせこけて悲愴な顔して 同情を誘う だまされちゃだめだよ キティ! そいつは ウソつきの ガキンチョなんだ さっき 舌をペロッて 出してたんだよ!

モーツァルトが小鳥を調教する フリをして キティの家に 愛のメッセージを届けさせる そして 突然 荒れ狂う情緒不安定で あやうさを表現する キティはほっておけない 「私がいなきゃ ダメなんだわ!」と思う 童顔のキティ みんなのキティ 彼にだけ笑顔を見せた

知的なキティ 野心家のキティ いつもネコをかぶってる と言うより 君は既にネコそのもの ネコの中のネコ と言っても過言ではない 上目づかいで モーツァルトを見つめる キティ 艶めかしく英語の歌をうたう キティ 腰をくねくねうごかして大人の愛をうたう エッチなキティ……

「今夜 ボクんちに 泊まっていくかい?」とモーツァルトは言った

   

詩学/2001.1』