文体練習

片根伊六(かたねいろく)による、詩、物語、小説、エッセイなどを掲載しています。

動きのある風景

            そこに居るのは誰だ? 白い中にいる、光る灰色の人物。早く出てきてください。涙が流れる。僕は泣いてしまうぞ! 地面まで真っ白だ。等高線が消えていく…… 彼女が、この海の上を走ってきたのだ。赤い服を着ている。恐ろしいこと<!--more-->だ。とても速いスピードだ。彼女は何を笑っているのだろう。血が溜まっているじゃないか! いや、これはトマトジュースだ。トマトジュースは嫌いだが、血よりはマシだ。殺してしまえ…… 何だ! もんくあるのか! 宇宙が斜めに傾いている。僕は滑りそうだよ。転げ落ちてしまうよ。どんぐりのように。それは比喩にすぎないが、むしろ悪いのは太陽だ。チーフは僕を焼きすぎた。2000度で15分経過して、僕は原爆資料館から取り出されたのだ。僕はとても美味しそうだ。さあ、接客だ! 僕にあうワインは? ライスかパン、どちらになさいますか? デザートをお持ちしてもよろしいでしょうか? コーヒーと紅茶がございますが? 水をくれ、ビールだ、ご飯のオカワリをくれ! 駐車場がいっぱいだ…… 乱反射する音素の間をすり抜けて、また彼女がやってくる。こんどは緑色だ。彼女は加速装置を持っている。眼が輝いている。きっと、いい事があったんだな。彼女はとてもうれしそうだ。待ってくれ! すぐにデザートが来るから。あああ。彼女の置き手紙は文学だ。僕は、イテモタッテモいられない。グルグル部屋の中を歩き続けたい。冷凍しておこう。いや、燃やしてしまえ。やっぱりとっておこう…… 僕は良く眠れているだろうか? きっと死んではいないだろう。雰囲気だけの音楽め! 僕が起きたら大変なことになるぞ! 僕は残酷なのだ。ねえ君、僕を研究したまえ。僕には何かあるのだ。そんな気がする。確証はないが。とにかく研究したまえ! 僕が閉じこもってしまう前に……

     

展開が早くてユーモアとスピード感で読まされました。場面がどんどん展開するんですけども、キーワードとなるのが「彼女」ですよね。彼の得意の「彼女」があらわれた時点で場面がどんどん展開していく。[…] 関富士子「研究作品選」『詩学/2000.6』pp..112-114。