文体練習

片根伊六(かたねいろく)による、詩、物語、小説、エッセイなどを掲載しています。

テレビと砂漠

            「星」と「月」と「地平線」で暗示された夜の砂漠で、僕は、14インチのSONYのテレビのスイッチをいれる。

(リモコンがないので、電源を一度OFFにして、またONにしてスイッチをいれる)

ワイドショーで、朝の日本の各地を見ながら、日本と、こことの時差について考える。

時差から逆に、ここが何処なのかが解るかもしれない……。

夜の砂漠の中の、テレビの朝の光に照らされた僕の左手は、医学的には、なんの変化もないのだが、皺や血管や毛穴が、色と陰の対立で強調されていて、僕を集中させる。

僕は眼を開けたまま、空想している。

ミクロ化した、リアルな地球が僕の左の、てのひらの内側に浮かんでいる。 たくさんの人工衛星が、その周りをまわっている。 地球の表面にはワイドショーの、朝の、瀬戸内海の映像がうつり込んでいる。

左の、てのひらの内側の、親指の下の方の筋肉がピクピクして、重くて、命令がきかない状態になっている。 左肩と左腕の接合部がダルくて、なにかが、違う感じがする。

自転の影響で、時差が縮まっている。