文体練習

片根伊六(かたねいろく)による、詩、物語、小説、エッセイなどを掲載しています。

マルさんに関するエピソード

            新しい芸術を愛する社交家のマルコポーロ 「オレのことをみんなマルちゃんと呼ぶ」と彼は言った 先輩だから「マルさん」と僕は呼んだ 白く光る長方形の画面が 目をつむった時の目の中の空間に浮かんでいる 左側が一番明るくて 右に行<!--more-->くにしたがって暗くなる 途中に赤いくさび形が介入した非連続なグラデーション マルさんはその赤いくさび形のような人だった

マルさんに決定的な影響を受けた その次の年の早朝 どんどんスタイルを軽くしていく過程で天使の集会にでくわした 突然 ビリー・ジョエルが雑音に思えてきて 5分後にまた元に戻った よかった死ぬかと思った・・・ その次の晩ご飯の前(風呂に入った後) 粘土を適当にいじっていたら 気持ち悪い流線型の美学が生まれた グーでぶっつぶして燃えないゴミの日にだした マルさんは 「良くやった!」と言ってくれた そして2千円相当の賞品をくれた いいモノがいろいろ入っていた

英語でしゃべる巨大なヌード ある日 彼女に誘われて また僕は迷い込んだ 音の次元に そしてまた 最悪の難問に苦しめなれた 音のヌードは気持ちいいのか? 音になるには どうすればいいのか? 彼女との結婚は可能なのか? その他その他・・・ 「目をつむってはいけない 体を感じ続けろ」とマルさんは言った それで謎がすべて溶けた 例えば 姉ちゃんのサタデー・ナイト・フィーバーを8倍速で回して聞いた時 天気がよくて ゲンチャリを太陽電池式に改造した そして 金色の平面が僕の上に覆いかぶさってきた カエルのラップに感動した 左から右にテクノ臭が漂う そして僕は 謎を道連れにして ドロドロに溶けて 流れた

高学歴者向け最先端単純労働に従事するマルさんが僕に言った 「世の中には労働者と そうでない者の2種類しかいない」 当たりまえの事を言うのは難しい という持論をもっている僕は感動した ガガーリンの「地球は青い」に匹敵する名言だ と2分前の僕は思った

その昨日のベルにビクッとする ハイテクピンボールみたく 選ばれた人だけを天国に導く ウッ ウッ ウッ ウッウッウッッッッッッッッ 「泣きたくなったら僕のところへおいで」とマルさんは言った 「遠赤外線の言葉でなぐさめてあげよう」 「さあ マーケティング調査でエイズのナゾを解き明かそう!」 「ケン・イシイの『ミックスアップ Vol.3』をさらにリミックスして」 「ちょこまかとうるさい電気ウサギめ!」 マルさんの言葉は 僕を溶かす マウスが手と融合して奇妙な図形を描き始める 幾何学的なガチャピンとムックがモニターのな中から僕を攻撃してくる 僕は恥ずかしい言葉で応戦する でも アンドロイドが僕に感情移入してきて 僕の哀しみを理論化した 僕はマルさんに 一生勝てないのだろうか?