文体練習

片根伊六(かたねいろく)による、詩、物語、小説、エッセイなどを掲載しています。

《 》

            《 》を書くには適していない体調だ。でも音が鳴り始めたのだ。胃の空洞に悪い<!--more-->空気が溜まっている。重々しい雰囲気だ。指先の感覚が鈍くなっている。身体が拒絶反応を起こしている。眠い。それにダルい。でも音が鳴り続けているのだ。何が?《僕は正常でいられるのでしょうか?》ボリュームが振り切れて、制御不能になっている。白い画面から、微量の放射能が漏れはじめたのだ。恐ろしいことだ。緊張する。すぐ目の前の無色透明な空間に放射能が漏れはじめたのだ。《そこでも僕は正常でいられるのでしょうか?》今、《 》のようなものが生まれつつあることの偶然性。その《 》が10分後には完成しているであろうことの偶然性。10分後に生まれた《 》が誰かに読まれたとして、それがどうしたと言うのだろうか? その《 》を読んで、ある人間がある人間に意味づけをしたとして、それがどうしたと言うのだろう?《その時もあなたは正常だと言ってくれるでしょうか?》この部屋の中に数百数千の商品が今ここにあることの、この商品がこの部屋にたどり着くまでの道程の、その道程にたずさわった人たちの思惑欲望生活の偶然性。焼いてしまいたい。《これでも僕は正常でしょうか?》今、西からやって来て東へ向かって通り過ぎた車について書くことに、あの車に誰が乗っていたのかを知ることが出来ないことについて書くことに、その車が2キロ先で事故を起こしているというイメージをどう処理すればいいのだろうか?《僕にあと5年間の品質保証期間をくれませんか?》10年前の僕と今の僕が別人であると仮定してみる。10年後の僕が今の僕を憎んでいると仮定してみる。《 》してしまいたい。音が鳴り続けているのだ。