文体練習

片根伊六(かたねいろく)による、詩、物語、小説、エッセイなどを掲載しています。

僕はテレビ(自己意識機能を標準装備、オプションで自由意志機能を搭載)

            僕はテレビだ。

ただし、家庭用のテレビと違って、自己意識機能が標準装備されている。 そのため、自分がどんな映像を流しているかが分かるようになっている。 この機能を使いこなせば、「これは面白い」とか「つまらない」とか「良い」とか「悪い」とか、自己評価することもできるようになる。

オプションで、自由意志機能もつけることができる。 これがあると、流す映像を自分で選べるので便利だ。 自由意志のレベルは1から最大5まであるのだが、僕は真ん中のレベル3にした。 自由度が高すぎると、それはそれで面倒だという説もある。

ハード的には、設計図通りの大量生産なので、特別なものは何もない。 でも、この二つの機能があるおかげで、僕の人生は、世界に一つだけの、特別なものになると思う。

僕の人生は、結末が分からない、即興の映画みたいになる。

できればハッピーエンドがいいな。 小津安二郎みたいに、おだやかに終わるのもいいな。 アバンギャルドみたいなのは、ちょっとかんべん。

壊れて、修理しても治らなくなるまで。 たかが映像、されど映像だね。