文体練習

片根伊六(かたねいろく)による、詩、物語、小説、エッセイなどを掲載しています。

夕方の海岸

            あっちの波と、こっちの波が重なりあって

斜めの線がすべって来ると 砂がガラスのようにみがきあげられます。

貝殻があるところは 引く時の波が茶色い線を残します。

鮮魚旅館のおかみさんが 2階の窓から遠くを眺めています。

料理人さんは 小屋によりかかっていっぷくしています。

女の神様が嫉妬して あそこの岬を通る舟を沈没させるそうです。

夕日が海に引火しています。

すたすた、すたすた。 さくさく、さくさく。

生き物は一匹もいません。