文体練習

片根伊六(かたねいろく)による、詩、物語、小説、エッセイなどを掲載しています。

ゾウの滑り台

            部屋の中にゾウの滑り台があります。

これで子供がよく遊びます。

くっきりとした陰影のあるプラスチックです。 プラスチックは石油からできているんですよね? サウジアラビアの油田でとれたのかな?

ゾウの鼻の部分はでぱってって危ないので外してあります。 まだどこかにあるかな? おもちゃの引き出しの中かな?

どこのおもちゃ工場で作られたのかな? その会社の社長の経歴は? 工場では、パートの女性が働いているかもしれません。 その人の名前は? 旦那さんの職業は? 子供の学校はどこ? シールをはったのは誰? 箱に梱包したのはだれ? その箱をトイザラスかどっかに運んだトラックの運転手さんは誰? 佐川急便かな?

最近は、後ろ向きに斜面を上って、はしごの方から飛び降りたりします。 頭から滑ったりします。 使わないときは、布団と座布団がのっかってます。今ものってます。 上がフタになっていて、中に洗剤が収納されています。

なんでこれは、ここにあるのでしょう? これはなんなんでしょう?

ゾウの滑り台から記憶を分離するのです。 ちょっとしたコツがいりますよ。 軽い寒気がするポイントを見つけましょう。 梅雨で気温が低いせいじゃないですよ。

怖いもの見たさから始まる軽い狂気のようなものです。 化学者が書いた恋愛小説のような。