『青春の門・筑豊篇』五木寛之著を読み始めた。
以前から気になっていたのだが、図書館で見かけて手に取った。 本屋にばかり行っていると、なかなか出会うことのない本だと思う。
筑豊炭鉱の荒々しい世界で育つ信介の成長物語になるのだと思う。
日常生活ではけっして近寄らないような暴力や非道徳的な行為に対して、強く惹かれるのは何故だろう?
未知の世界を疑似体験してみたい好奇心?
主人公が良心や正義感を持ったまっとうな性格であることがミソだと思う。 そのおかげで、安心して未知の世界に入っていくことが出来る。
これが無かったら、暴力や非道徳の世界に感情移入した時に、精神的な負担が大きくなるだろう。 北野武監督の映画のように、人を殺すことに無感情だったりすると、罪悪感のような恐怖心のような、マイナスな感情が後を引いてしまうと思う。(それが良いのかもしれないが……。)
主人公がまっとうな性格だと、作品の中で読者の肩代わりをして、暴力や非道徳的な行為に対する心の整理をつけてくれる。主人公が、恐怖したり、嫌悪したり、強くなったり、慣れてきたり、葛藤したりすることで、読者の肩の荷がおりるのだ。
『青春の門』のように長編のものは、主人公がまっとうでないと、途中で耐えきれなくてなって、読むのを止めてしまうかもしれない。