美禰子さんは、お高くとまっていて可愛い。
かけひきを好み、どういう意図だか分らないことをして、彼をまどわす。
客観的、論理的に考えて、美禰子さんが彼のことを好きだということは、間違いない。…ように思われる。
しかし、美禰子さん自身が、論理的、客観的な思考をしていないとすると、どうなるのだろうか?
その場の思い付きで、思わせぶりなことを言ったり、したりするだけであって、彼とつき合う気などさらさら無いという可能性もある。
いよいよこの堂々めぐりに耐えられなくなった彼は、こちらからきっぱり縁を切ることもあり得ると、覚悟した。
あるいは、彼がはっきりした態度と言葉を示さないから、美禰子さんがこんなふうなのかもしれない。
客観的、論理的に考えて、美禰子さんと彼がつい会うことは無くなったことが明らかになった。
彼は森のような公園を歩いた。公園のはしから出て、水路にそった小道を進んだ。どこまでもどこまでも。 彼はどこまで行ったのだろう。