文体練習

片根伊六(かたねいろく)による、詩、物語、小説、エッセイなどを掲載しています。

錬金術と永遠

            確率の悪い実験をくりかえし

何かが生まれるかもしれないし 何も生まれないのかもしれないし

たくさん生んだかもしれないし まったく生んでないのかもしれないし

地下の光のささない実験室で 計画性のない 行き当たりばったりの 調合をくりかえしている

パンとミネラルウォーターを買うために 光の充満した 生き物だらけの地上に はい上がると 寒気がした

ポケットに隠した 楽器で音階を確かめながら 生き物たちと 会話をする

意味があっているのか 確信はいつも持てないが いつの間にか パンと ミネラルウォーターを持って 地下室で うずくまっている

ひざを抱えて しばらく安静にしていると ふらふらと いつのまにか 調合をくりかえしていた

何か考えると 世界を消し去ってしまいそうで おじけづいた

昔のことも 先のことも 概念でしかなくなった

永遠って こういうことなんだと 分かったら 悲しくないのに 涙が流れた