音楽の漫画で、主人公がまだ無名の時に、ほとんどの観客が期待していなくて雑談なんかをしている中で演奏が始まって、その圧倒的なパフォーマンスに度肝をぬかれる場面が好きだ。『BLUE GIANT』『BECK』『僕はビートルズ』とか。
雑談がピタッとやんでみんな無言であっ気にとられて鳥肌がたっている。そして、演奏が終わると、しばらくシーンとして、誰か一人が拍手をしたのをきっかけに、みんな我に返って、割れんばかりの歓声喝采が沸き起こる。
そいう場面は、必ず涙が出てくる。例外なく。
ヒロインや師匠など、ずっと応援してきた人たちが、ワンカット登場して、僕と一緒に泣いていたりなんかして…。
スポーツの漫画でも同じような感じがある。主人公のことを知らないか、噂は聞いているけど大して期待していないような程度の観客がいて、余裕をかましている強豪を相手にしている時なんか。
『エースをねらえ!』『タッチ』『ハイキュー!!』とか。
漫画じゃなくて、実際の、中田英寿とか、久保建英とかも同じ種類の感動があった。
メッシとか、ロナウドとかを見るとすごくて面白いけど、感動して涙が出てくるということはない。
自分がすごいと思って注目している無名の人を、まだ知らない観客が初めて見て驚いているのを見るのが大好きなんだと思う。
いろんな見方はあると思うけど……、サクセスストーリーは、この場面のためだけにあるんだと思う。