文体練習

片根伊六(かたねいろく)による、詩、物語、小説、エッセイなどを掲載しています。

詩(暗示度:中)

その三つに分類されない自己意識

人間を見ている。僕の視界に入ってくる人。そして視界から消えていく人。様々に自立して動作している。そして、その全員が自己意識を内にもっているのだ。まったく、すばらしい。いくら見ていても飽きない。ついつい感情移入してしまう。そして、きまって思…

ハンニバル戦記を背もたれにして

(ハンニバル戦記を背もたれにして スマホを横にたたせて ブルートゥースでつながったキーボードをたたく 雨がふっている ハンニバルとスキピオが荒野で戦っている) ハンニバルの祖国のカルタゴは 歴史上、無くなってしまった。 (ローマはまだるのだろうか…

幸福論で死ね

幸せは 絶対的でも 相対的でも ない もの 僕が 勝手に 捏造する もの くるくる ころころ 変わっていく状況の 風か波か なんかの中で コンスタントに 幸せを 捏造 し続ける 技術 ノウハウ 経験を活かして ビジネスモデル 野生の本能 どんな状況でも 幸せにな…

泣きそうになるくらい、原型、宇宙

こころの中に 宇宙を感じる この感覚が、おそらく原型なのだろう あらゆる物理学 あらゆる哲学 あらゆる宗教 あらゆる物語 まだ大気圏から出たばかりのところを ちょろちょろしているだけだ もっと遠くに もっと奥に もっと深く もっと奥に いってみたい 戻…

ザツな天使のオツゲ

ザツな天使が わたしの耳のすぐ近くで 爆音で ささやき続けてる はやくちで 爆音で ささやき続けてる からだが つめたくなって すきとおっていく 原子になって 空気と 同じになって 音とわたしが とてもよくまじって ただようから どこにでも行けて 宇宙のす…

Raspberry Lover(ラズベリーラバー、秦 基博)について

短い時間で、長い物語が凝縮されて入ってくるようだ。 だとするとすごい情報量だ。 「さも 彼女だけが 童話の中にきるように」という出だしの部分で、たくさんの童話が、頭の中で検索され始める。 アダムとイブの禁断の果実? 白雪姫の毒入りりんご? えっ、…

何が伝わっているのだろう?

文字を書く この文字を先生が読むだろう 明日の昼休みか、5時間目が終わった後か 15分休みかもしれない この文字が 先生の目に映って 頭の中に映って 何かが伝わる時 何が伝わっているのだろう? 「今日はカレーでした」とか 「宿題は難しかった」とかだ…

錬金術と永遠

確率の悪い実験をくりかえし 何かが生まれるかもしれないし 何も生まれないのかもしれないし たくさん生んだかもしれないし まったく生んでないのかもしれないし 地下の光のささない実験室で 計画性のない 行き当たりばったりの 調合をくりかえしている パン…

お釈迦様の手のひらの外に出れるか?

僕は文体に乗っ取られているんじゃないか? と、さっきふと思いついた。 この文体もそうだ。 文体に、僕の気分も考えの流れも支配されているんじゃないか? この文体はどこから来たのか? これは僕の文体か? この文を誰かが読んで理解できるということは、…

おもちゃおもちゃ

おもちゃで遊んで、お金が稼げるといいですね。 そしたら、誰にも気がねせずに、思うぞんぶんおもちゃに没頭していられます。 もうすぐ、そういうことが可能になるのかもしれません。 ちがうかもしれませんが、もしかしたら、できるようになるかもしれません…

呼びかけ

やあ サピエンスさんたち! 僕と関係ない おびただしい数の 仲間たち! 聞いてください 読んでください 見てください これが僕の 自己意識です あなたの自己意識も 聞かせてください 読ませてください 見せてください あなたの自己意識は どうですか?

ぼーんぼん

ちくたくちくたく、ぼーんぼん。 でんでんむしむし、かたつむり。 ゆくかわのながれは、たえずして。 おごれるものも、ひさしからず。 われおもう、ゆえにわれあり。 ごめんね、ごめんね、ぼーんぼん。

革命家のモノローグ

僕の日常的な考えや行動を、筆者の人は、すべて好意的に書いてくれた。 欠点も、人間味のある愛嬌だと逆手にとって、包み隠さずさらけ出された。 僕が何をやっても、何もやらなくても、そこには何らかの意味があった。 こじつけだと言えばこじつけだが、筆者…

mfとBOの存在論に関する対話

mf「私たちの目の前に、生々しく存在しているように見えるこの世界は、いったい、どれくらい本当に存在しているのでしょう?」 BO「哲学の存在論みたいな話? 実感的に言って、全て、それこそ宇宙の果てまで全て本当に存在していると思うけど」 mf「哲…

「優越」しつつ、「愛」し「協力」し

優越願望が、 「すべての人間の中に」あると 心理学者は言っている。 無欲に見える人も、目の前に チャンスが転がってきたら、拾うだろう。 優越願望を断ち切った と言うお坊さんは 俗世間より優越している。 支配されている人も 心の中までは支配されないこ…

ハドリアヌス

ハドリアヌスは ニッチに腰掛けていた 懐かしそうに 石の硬さを確かめていた 僕と彼と どっちの方が寂しいだろうか? 僕らは一言も喋らなかったが たしかに ふたりとも 球体の中にいた 『Booy Trap/1998.1』

輝く都市 (詩)

白っぽい光で満たされている 大聖堂よりも広い 果てしなく続く回廊 赤い肉、桃色の肉、白い肉 様々な色の濃さがそろっている 透き通る紙のような肉、立方体の肉、ミミズの群れのような肉 長方形に切られ 縦横そろえて敷き詰められた肉 ありとあらゆる動物の…

角地のお店が閉まっている。

角地をおさえたら勝ちだ。 あと、出入口と駐車場のスペック。 そういうルールで戦っている。 マックもセブンもエネオスも狙っているから、なかなか難しい。 角地は神聖な場所だ。 お祓いをしてから、 さあ、戦闘開始だ。

消え去っていく余韻の強弱

左の肋骨のはしっこが きゅんとうずいて、寒気が上半身に感電する。 僕が別のものに生まれ、しばらく余韻がある。 その強度によって、余韻の持続時間は変わると思う。 余韻が消えると、また探さなければならない。 早くしないと、だらだらと、体が重い汗の老…

背景的な人たちと女の子

黒いタートルセータをぴったり着たポニーテールの店員が、 スチームを使ってドリンクを作っている。 チッ、チッ、タタ。シュー。チン。カラカラ。「お待たせしました」 リラックスした様子で、スピーディーに動いている。 しばらく作業をした後で、バックル…

ありじごく

妹と二人で ありじごくで遊んだことを たまに思い出す 建て替える前の 古い家の納屋の 裏の軒下 隣の敷地が高くて 横が土の壁になっている せまくて じめじめしているのに 日が差してて とても明るい 二人で しゃがんで じっと見ている それを 手前の ななめ…

宇宙の果てまで行って帰って来ても、人生は変わらず続く (詩)

高い山の上から、町を見下ろしてみる。 人工衛星に乗って、大陸や海を見ながらくるっと一周してみる。 ロケットで、宇宙の果てまで行って、帰ってくる。 宇宙全体で考えると、 僕は蟻よりちっぽけな ホコリよりも小さな一粒だ。 僕が生まれて死ぬまでの数十…

頭に核弾頭をのっけて (詩)

きみたちがやってくる前の僕は 頭に核弾頭をのっけて いい気になってた 頭に核弾頭をのっけて 街をうろついて いい気になってた いつでも なんでも 壊滅的に破壊できると 思っていた 今から思うと ぜんぜん幸せじゃなかった 今はもう 頭に核弾頭をのっけてい…

仕事で戦う時の詩

飾りを全て削る。 付け入るすきを与えない。 そらさせない。 有無を言わさない。 純粋な、 決定的な、 無慈悲な、 一本の、 一撃の、 核心の強度を信じて!

テラスごしに遊園地が見える席

テラスごしに遊園地が見える席 に座っている。 フェンスによじ登って、 ジョットコースターやドームの夜景を撮っている女の子。 その女の子を見ているテーブルの母親。 その母親を見ている僕。 その僕を見ている 僕の自意識。 その僕の自意識を読む あなた。…

まる

まる、まる、まる。 まるが、ぽたぽた、おちてくる。 にかいやすんで、またあした。 じかんはつづく、どこまでも。 あしたいいひに、しておくれ。 うどんをたべて、げんきだせ。 いいゆめみろよ、かわいいよ。 まる、まる、まる。 まるが、ふわふわ、のぼっ…

たいくつな日々が伏線になって (詩)

「たいくつな日々が伏線になって、最後に美しい結末が訪れる物語に憧れます。 でも、たいくつなのは、1日だって、1時間だって、1行だって我慢できないのです。 ぜいたくな悩みだと言われそうですが、どうしても、世界中の名言を集めたように、世界コピー…

人生の単位「ジセ」について (詩)

生れる前に時間は無い 死んだ後にも時間は無い とすると 生れてから死ぬまでの間が 君にとっての時間だ 生れてから死ぬまでの時間を10で割った長さを 人生の単位とすると みんな0で生まれて10で死ぬことになる 蟻もゾウも、タンポポも縄文杉も 君も そ…

市場原理と資本主義と民主主義と歴史が完成した後の、密かな革命 (詩)

人工知能を搭載した買い物ロボットが、買い手にもっとも有利な商品を買ってくるようになった。 人工知能を搭載した販売ロボットが、お店がもっとも利益を出せる値段で販売するようになった。 そして、市場原理が完成した。 「お客様のために」とか、「あの人…

チェック項目 (詩)

(1)寒い季節に日が差して、山の画質がくっきりしていると、しばらく見ている。 (2)みんな寝ている夜中や早朝に出かけたり帰って来たりした時、 星や星座がくっきりと空に広がっていたら 建物で見切れているところを見るために、少し移動する。 (3)…