文体練習

片根伊六(かたねいろく)による、詩、物語、小説、エッセイなどを掲載しています。

詩(暗示度:小)

ぼくは一人きり

季節外れのレジャースポットで ぼくは一人きり 山で 川で 海で キャンプ場で ぼくは一人きり 夜中や早朝で ぼくは一人きり たくさん人がいるコーヒー屋さんでも ぼくは一人きり 歩く 走る 泳ぐ 読む ぼくは一人きり

テキストの世界

夕方、もう暗くなった自習室で 勉強していると テキストの世界に トリップしてしまうことがあった。 いっしょに来た友達のことも 自習室にいるということも 受験生だということも すべて忘れて すべての記憶が無くなって テキストの中で思考することが 世界…

ひとこともしゃべらないで

森の中に 木はたくさんあるけれど みんな ひとこともしゃべらないで だまって 立っています さびしくないのでしょうか? 枝と枝がかさなって 大きな屋根をつくっているけれど みんなけんかもしないで だまって 立っています まるまる太ったの 枯れてやせっぽ…

おくのへや

ふたりの おんなのこが じいじと ばあばの おうちに とまった ひのことです めがさめると おうちには ふたりの おんなのこしか いませんでした じいじと ばあばは あさの おさんぽに でかけて いたのです でも ふたりは へいきでした じいじと ばあばの おう…

TKTRの書斎

ガレージに車をとめてトイレをすませる。靴をはき替えて、約5分歩くと露地(ろじ)に入る。木々に囲まれた門を通ると、町を俯瞰(ふかん)する眺望がひらける。その時の気分で選んだ椅子にこしかけて、コーヒーを一口飲んでから本をしばらく読む。面白いこ…

ボクは作業ロボットさ

「ボクは 作業ロボットさ どんな 嫌ーな 作業でも クールな顔して 処理するよ 何の 役に たつかとか 効率 悪いんじゃ ないかとか なぁーんにも 考え ないんだよ 手順どおりに ながれるように ただ処理するだけ なぁーんだよ ギーガシャ ギーガシャ ウィーン …

夜のマクドナルド

居酒屋で大人たちが楽しく過ごすように 高校生たちもマクドナルドでワイワイやる お酒は飲んでないけど みんなとてもハイテンションだ 高校生たちは とてもコスパがいい

100億円かせぐよりも幸せ

想像することが出来るとしたら 100億円かせぐよりも幸せ かも この6畳の部屋は 高層マンションの最上階だと 想像してみる カーテンを開けると はるか地平線のかなたまで 嘘みたいな夜景が広がっている この椅子は 世界的に有名なデザイナーの 世界に一つ…

わやぁー

僕がベンチにすわると ふてぶてしい猫が わやぁー わやぁー と言いながら まっすぐに 僕に向かってきた エサが欲しいのかな ちょっと恐いな と思っていたら わやぁー わやぁー と言いながら 僕をひとにらみして 通りすぎて行った ふりかえりもせずに ふてぶ…

一つの行動

簡単な 一つの行動を 決める もしその行動が たくさんくり返されたら あるいは たくさんの人が行ったら 大きな 効果がでるようなもの

今 生まれたての人生だ 成熟した大人として 今 生まれたのだ 光り輝く 広々とした世界に これから 飛び込んでいくんだ たくさんの 物じゃないものを たくさんたくさん ぼくは持って 今 ぼくは 生まれたんだ これからの人生が 長いのか 短いのか と 考えるの…

心が苦しくなったら

心が苦しくなったら 歩け 走れ ぞくぞくする 圧倒的な場所に行って 歩け 走れ 一人っきりで

ある程度の勝算

何度でもレースに参加する。 ある程度の勝算をもって。 なんどでもなんどでも。 いくつになっても。

いつの間にか死んでいる

ボケて、考えれないようになって 泥酔して、ふわふわしながら 眠っているうちに 巨大な隕石が真上から落ちてきて 悲しむことなく 恐れることなく 苦しむことなく 不幸のどん底の時に 幸せ絶頂の時に もう少しで成功だという時に あと一歩で破滅だという時に …

悪魔と取引

われられ人類は、太古の昔に悪魔と取引したのだ。 何かを手に入れるために、永遠の命を差し出して。 その「何か」とは何かという問題は、 専門家の間で激しく議論されており、今なお係争中だ。

ニコニコしているように

何かの新しいグループに入って 4~5人で話しているとき ひと言もしゃべってないと プレッシャーを感じてくる 誰かが気を利かして 話をふってくれたときに うまくのっかれないと さらに追い込まれてしまう なるべく ニコニコしているようにする のってきて …

悲しい花

うつくしく咲く花は悲しいです。 やがてしぼんで、 茶色のかさかさになってしまいます。 そしてもう何も無くなってしまいます。 写真や映像ではダメです。 じっさいに在ることとはちがいます。 3Dや4Dや5Dでも……。 悲しさがますばかり。 瞬間冷凍して…

高等遊民もいいけれど

女の子とたちとそのお母さんはもう寝ている お酒を飲んでテレビを見よう 仕事にくたびれた日は これが楽しい 見飽きるまでザッピングして 録画されてるのもあさって 酔いがさめてきたら シャワーをあびる その前に太田胃散を規定量飲んで 歯も磨いておこう …

お高くとまった美禰子さん

美禰子さんは、お高くとまっていて可愛い。 かけひきを好み、どういう意図だか分らないことをして、彼をまどわす。 客観的、論理的に考えて、美禰子さんが彼のことを好きだということは、間違いない。…ように思われる。 しかし、美禰子さん自身が、論理的、…

記憶をかきあつめて自分が完成するまで

僕はコーヒー屋さんで、座ったまま居眠りをするのが得意だ。 起きた時の数秒間の寝ぼけまなこが好きだ。 その数秒間の軽い不安。 居眠りからさめて、記憶をかきあつめて自分が完成するまでの、数秒間が好きだ。 黒いパソコン。 閉じた本。 コーヒーの紙コッ…

夜の音楽堂

パソコンの 立ち上がるまでに イライラしたら、 目ををつむって 仮眠をとる すずむしの声が 聞こえていた 闇の下の 音楽ホール タキシードを着た 小さな奏者 ↓ はじめの とりあえず書き始めたところを 消してみよう ↓ 「夜の音楽堂」 タキシードを着た 小さ…

幸せの黄色いカプセル

幸せを感じるのは 脳が アドレナリンやドーパミンやセロトニンで 満たされてるかどうか 単純にそういうことなのだとしたら きっと 科学者たちは口どめされてるに違いない ドラッグストアかコンビニで 幸せの黄色いカプセル買って飲んで アドレナリンやドーパ…

子鹿とライオン

とある草原のステージで 百頭の子鹿たちが ダンスを踊る お姉さん子鹿たちのジャンプは すさまじい! 美しい武器のように 鋭く みなぎってる よちよち歩きの子鹿たちは 音に合わせて 動いているだけ 振付は一応 あるみたいだけど…… ライオンが登場した 先月…

好奇心と恐怖

好奇心と恐怖がかけひきしている。 後もどりできないところまで来てしまう。 目印をときどき見失って、たち止まることが多くなる。 さっきまで光かがやいていたのに、木々がおい繁って薄暗くなっている。 汗が冷たい。 これを冷や汗って言うのかな。

Mについて

僕は、パルコ7Fの バックヤードにいた 換気用の小窓が 1つ穿たれていて 制御された街のネオンが 暗闇と調和していた 左耳の裏に、刺激を感じ始めた 肉眼では見えない 限りなく細い針だった じっとしていた 赤と青の暗闇が 冷たく 漂っていた 3本目が差し…

球体

球体の中は ひんやりしていた 古代の生態系が 守られていた 呼吸を 最小限に押さえたのだが やはり 侵入してきた 肺が熱をもちはじめて 古代のウイルスに 侵されつつあった 『Booy Trap/1998.1』

光の柱

光の柱は そのためにあるのかもしれなかった ハドリアヌスがしたように 僕も 柱の中に 立ってみた そして ハドリアヌスがしたように 裸になった 黄ばんだヘインズと 破れた501は きれいにたたんで 祭壇にのせた すり切れたアジダスは 柱の外に 揃えた 目…

裁量と自由

芸術家のみなさん、あなたたちは、各自の裁量で、自由にテーマを選ぶことができます。表現手段も自由に選んでもらってけっこうです。 我が国では、(法に反しない限り)いっさいの制限を設けません。 さあ、思う存分に力を発揮し、我が国の文化発展に寄与して…

これからいっしょに (詩)

これからいっしょに どこかに行こうよ 準備なんかいいから 車に乗ってよ お昼なんてどこかで パンでも買って お茶なんか どこかで自販機探して はやくいいから 車に乗ってよ 海でもいいし 山でもいいし やっぱりぜったい 海がいいかな ケンカなんか後で 車で…

思考の滑空

物語や絵や音のイメージに反応する強さが増していくと あるところで、不意に思考が滑空しだす。 体から思考が切り離されて、戻らなくなってしまう。 戻らない時間が長ければ長いほど その物語や絵や音のイメージは優れていると感じる。